不動産を売却するときに、夫婦のどちらが売主になるかで税金の控除が大きく変わってくることがあります。
具体的には、専業主婦(もしくは主夫)が不動産を売却して売却益が出た場合に、扶養控除から外れてしまうことがあるのです。
今回は専業主婦を例に、不動産を売却する前に知っておきたい売却益と扶養控除の関係についてご紹介します。
専業主婦が不動産を売却するときの扶養控除の条件
専業主婦が扶養から外れると、専業主婦には所得税や住民税の支払い義務が発生し、夫は配偶者控除を受けられなくなります。
配偶者控除は、妻の収入が38万円以下であることが条件です。
不動産を売却したときの売却益は、売却価格から不動産取得費と譲渡にかかった費用を差し引いて求められます。
この金額が38万円を超えると、妻は夫の扶養控除から外れてしまうのです。
ただし、扶養控除から外れるのは不動産売却の翌年1年間のみで、それ以降は元に戻ります。
不動産売却の翌年2月16日から3月15日の間に、確定申告をおこなうのを忘れないようにしましょう。
自宅を売却した場合で条件を満たせば、3,000万円の特別控除が受けられます。
特別控除を受けると売却益から3,000万円が控除されるため、売却所得額がマイナスになることがあります。
この場合、妻に対する所得税や住民税は発生しません。
不動産売却における扶養控除と配偶者特別控除の違い
妻の所得が38万円以下なら、夫の年収から38万円が控除されて所得税が計算されるのが「扶養控除」です。
もし扶養控除が受けられなくても、所得金額が123万円以下であれば「配偶者特別控除」が受けられます。
控除額は夫の年収と所得金額で異なり、夫の年収が1,000万円を超えると受けられません。
控除については、いずれも3,000万円の特別控除を受ける前の売却所得が基準になるので留意しておきましょう。
また、「扶養控除」の基準の38万円や「配偶者特別控除」の基準になる76万円は給与所得以外の収入の基準額です。
パートなどで働いている場合の扶養枠である、給与所得額103万円以下とは異なる点にも注意しましょう。